暮らしを鮮やかに彩る 薪ストーブのある暮らし

暮らしを鮮やかに彩る 薪ストーブのある暮らし

青々とした田園と、家々が織りなすのどかな風景のなか、10年ほど前に家を建てたAさん一家。周囲の木々がぐんぐん枝を伸ばすように、小さかった子どもたちもそれぞれが巣立つ年頃に成長し、暮らし方も変化してきました。

しかしどんな時でも、家の中心にあるのは薪ストーブでした。内と外で人の輪をつなげるきっかけとなり、暮らしを鮮やかに彩った薪ストーブは、一家にとってなくてはならないものとなりました。

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家の中心にあるリビング。天井が高く開放感がある

周囲になじむ堂々とした佇まい

香川県三豊市。車通りの多い国道から逸れ、両側に家々が立ち並ぶ細い路地を進むと、田畑に囲まれた一軒の家が見えてきます。日本瓦の重厚感と焼杉板が生み出す味わい深さは周囲の緑に溶け込み、この地にどっしりと根を下ろしたことを想起させるような佇まいを感じます。5台はゆうに停められる広々とした駐車場を抜け、玄関にたどり着くと気づくのは、ベンガラ色の鮮やかなアクセント。ポーチの庇の下や玄関柱の差し色が、訪れる人を明るく迎えてくれているかのようです。

Aさん一家が暮らすこの地域は、周辺5つの小学校が統合新設される小学校が近くにできることもあり、注目を集めている人気のエリアです。奥様の実家が近くにあったこともあって選んだ場所ですが、家を建てることを考え始めた10数年前でも「良い場所が見つかるまで、2年くらいはかかりました」とその当時を振り返ります。

しかし、苦労して探した甲斐があって出会ったのは、150坪ほどの広々とした土地。そこから理想の住まいづくりが始まりました。

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左》和風の趣きに差した色が、遊び心を感じさせるアプローチ 右上》リビングに面した使い勝手の良い和室 右下》Aさん作の薪置き場。日当たりが良いので乾燥も早い

決め手は人と人の信頼関係

家づくりで一番こだわったことについて質問すると「薪ストーブ。それに焼杉の外壁ですね」とAさん。ご自身の実家がまさに焼杉板の外観だったそうで、落ち着いた雰囲気が好きだというのがその理由だとか。薪ストーブについては以前から興味があり、「古木里庫」の存在も知っていたのだそう。

「ただ菅組さんがやっている店ということは、知らなかったんですよ。薪ストーブのある家、しかも焼杉の外壁も施工できる会社を調べたら菅組さんにたどり着き、その時に初めて知りました」とにっこり。

展示場にも足を運び、ハウスメーカーを回ったAさん一家。薪ストーブや焼杉板の外壁など、譲れないこだわりは守りつつも、しかし最終的に菅組に決めたのは他の理由からだったそうです。

「やはり家づくりに関わってくださる方々との関係が大切ですよね。こまめなやり取りの中、希望を伝えればこちらの感覚に寄り添った的確なアドバイスをもらえる。そういう人間関係が菅組さんとなら築けると思ったんです」とAさん。竣工から10年経った今も、その関係性は続いていると話します。

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左》取材時、庭の畑ではカボチャやナス、落花生、ピーマン、ショウガなどを栽培中。季節ごとに少量ずつたくさんの野菜を育てている 右》リビングから見上げた中2階のロフト。収納力バツグン

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左》空間になじむ造作のキッチン。すぐ脇の窓から洗濯干し場に出られる 右》Aさんが現在DIY中のトイレ

家族が自然とリビングに集まる設計

家を建てた当時は、ご夫妻と2人のお子さん、さらに奥様の母と祖母の6人で暮らしていたAさん一家。みんなが自然と集まれるようにと、リビングを文字通り生活の中心に据え、各々の部屋が面した間取りにしました。扉を開け放せば、夏の暑い日にはリビングのエアコンの冷気が他の部屋にも行き届き、寒い冬には薪ストーブのぬくもりが家全体を包みます。

「リビングとの区切りは扉一つ。子どもがまだ小さかった時には、どこにいても目が行き届くので安心でした」と奥様。リビングを通じてどの部屋とも行き来しやすいA邸。しかし収納する場所が…という課題は、中2階をつくることで解消しました。高さ140㎝ほどのロフトと隣接する小部屋は、収納力もバツグン。おかげで1階はスッキリと片付くのだそうです。

暮らしを快適にする間取りの工夫は他にもあります。洗濯機から日当たりのいいリビング南側の物干し場までの動線は、キッチンを抜けて一直線。さらに家の東西南北に開口部があるため、真夏や真冬を除けば、リビングを心地良い風が抜けます。

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上》中二階から見下ろしたリビング 左下》グリーンカーテンはパッションフルーツ。今年は豊作なのだとか 右下》奥様の仕事に使うため、Aさんが育てた花

薪ストーブで繋がる人との輪

A邸の庭の一角には、立派な薪置き場があります。Aさん自らがつくったもので、約1年分の薪を保管できるのだとか。「薪用の木は、山を所有している知人に木を切らせてもらっています。うちも助かりますが、知人にも間伐になると喜んでもらっています。切った木は古木里庫で薪割り機を借りて、ちょうどいいサイズにしているんです。古木里庫では薪ストーブのメンテナンス道具も借りていますが、家を建てた後にも自然とやりとりが続くので、困った時に相談しやすいのもいいですね」

薪ストーブがあることで、かかる手間をはるかにしのぐ楽しさがあると話すAさん。山では知人とバーベキューを楽しみ、古木里庫ではメンテナンスの話題で盛り上がることも。もはや生活の一部となったそんなやりとりが楽しいのだそうです。にこやかに話す様子からは、充実した暮らしぶりが伝わってきました。

場所:香川県三豊市豊中町
竣工:2015年9月
延べ床面積:152.27㎡(46.14坪)
構造:木造2階建て
設計・施工:株式会社 菅組

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