思い描いた暮らし

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お気に入りの雑貨や希望の家具が描かれた住まいのスケッチ。「頭の中で何度引っ越ししたか分かりません」と微笑む奥様の絵をみていると、当時これからはじまる暮らしへ寄せた胸いっぱいの期待が伝わってくるようです。

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心地よい居場所

Mさんご家族はすでに住まわれていた土地に、ご夫婦とお母さまが住まう3階建ての2世帯住宅を計画しました。

奥様が描いた具体的なスケッチをもとに、設計士が壁の厚みや窓の大きさなどの専門的な内容をふまえて再提案し、ほぼ思い描いた通りの住まいが完成しました。構造はSE構法。木造3階建てでも強度があり間取りの自由度が高いという、設計士からの提案でした。

1階はお母さまの住まいです。お母さま自らの希望で小物を飾るスペースを設けたり、寝室に濃紺の壁紙を選んだり、奥様同様新しい暮らしを思い描きながら家づくりを楽しんだそうです。

2階から上はご夫婦が暮らす住まいです。台所の棚にはミシンやアイロンが収納され、家事室としても活躍します。作業台にも使える半円のテーブルでは、ご夫婦そろって食事をいただくそうです。ペアで集められた様々な箸置きや、小さなお盆に用意された2人分のお茶セットから、仲の良いお2人の様子が垣間見えます。2階中心に位置する部屋には収納棚があり、扉を開くと6段の雛人形が現れます。県外で暮らす娘さんが大切にしているもので、季節になると小道具を持たせ、扉を外して眺めるのだそうです。片隅にある1畳ほどの書斎コーナーはご主人愛用のアイテムが並ぶ、隠れ家のような一角になっていました。

3階はお客様を招くことも多い居間です。オーディオコーナーには、CDとレコードのジャケットを見せるために設けられた飾り棚や、あえて小さくデザインした窓など、奥様の描いたスケッチが絵から飛び出したように希望通りに再現されていました。ミニキッチンとカウンターバーもあり、ここは音楽を聴きながらお酒を味わえる最高の空間になっています。奥様がピアノの演奏を披露することもあるそうです。

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Mさんご家族が暮らす町では、夏には花火が上がり、秋はちょうさ祭りが開催されます。長年この場所で暮らした経験を活かして配置したバルコニーでは、建物に遮られることなく、大輪の花火を眺めながらビアガーデンが楽しめます。また窓の位置も、前の住まいで不便だった場所を避け、日のあたる向きや景色を最大限に取り入れることを考えました。今ではお孫さんが窓から窓へちょうさを追いかける姿をほほえましく見守っているそうです。

休日は2人で出掛けることも多いというご夫婦。旅行先で郷土料理に舌鼓を打ち、その土地の景色を眺めながらのサイクリングなど、旅を満喫した後は旅館でゆっくりするのもいいけれど、我が家の居心地の良さを思い出し、はやく居間でくつろぎたくて日帰りを選んでしまうそうです。

まさに思い描いたものが形となったM邸。そこでの暮らしは、思い描いた以上に満たされた毎日となりました。

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観音寺市M邸

2017年2月竣工
延床面積:173.28㎡(52.50坪)
構造:SE構法3階建て
設計・施工:(株)菅組

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