歳月を経て味わいを増す檜の家

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海にも山にも近く、周囲には田畑が広がるのんびりとした風景。今回はこの町で暮らすAさんご一家を訪ねました。

当初は家を建てるかどうか悩んでいたというご夫妻の背中を押したのは、他でもない息子さんの存在。ダイナミックに遊ぶその姿を見て「部屋の広さも音も気にせず、のびのびと成長してほしい」という思いが募り、家づくりがスタートしました。

何度も打ち合わせを重ね、ご夫妻の希望と設計士の提案をうまく融合して完成したのは、ご夫妻の人柄を映したような明るく温もりのある家でした。

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大きな吹き抜けのあるリビング。正面にあるのがお気に入りのワークスペース。障子の意匠が、隣の和室との統一感を出している

家の完成は暮らしのはじまり

のどかな雰囲気を醸すエリアの中、住宅街の一角に建つA邸。周りに高い建物がないため空が広く、山の木々の移ろいや畑で育つ作物に、四季折々の変化を感じることができる自然に恵まれた環境です。その風景に溶け込むようなたたずまいのお宅に一歩足を踏み入れると、かすかに感じる檜の香り。「暮らし始めて3年経った今も、この香りに癒されるんですよ」と話すご家族の笑顔に、この家で過ごす日々が充実したものであることがわかります。

A邸が完成したのは令和2年。しかしAさんご夫妻が家づくりを考え始めたのは、そこからさらに7~8年ほどさかのぼります。共働きで多忙なお二人にとって、家を持つことはお互いの人生の大きな夢。「いつかは」と思いながら、その希望は長く温めていたのだそうです。そしてその思いは、息子さんの誕生によってどんどん大きくなったと話します。

「夫婦二人なら、まだしばらくはマンション暮らしでも良いかなと思っていたんです。でも息子を授かってその成長を目にするうちに、もっとのびのびと自由に育てたいという気持ちが強くなりました」と奥様。

当初は「木の家に住みたい」という漠然とした希望を持って、見学会や展示場などをいくつも回ったというAさんご夫妻。複数の会社の施工例を回り、見学を重ねるうちに、自分たちが暮らしたいと思う家の条件が徐々に具体化していきました。

「いろんな家を見せてもらうなかで、家の中にいても木のぬくもりを感じられるような空間に住みたいと強く思うようになりました。疲れて帰宅したときでも、入ればホッとする、そんな家です」とご主人。そして菅組の家を見学したときに、ご夫妻が思い描いた理想に近いと感じ、さらにさまざまな見学会に足を運んだ後、ついに家づくりを決心したのだそうです。

「でも、本当の決め手は菅組の営業担当のSさんだったかもしれません。木造建築のメリットとデメリットを隠すことなく教えてくれて、要所要所で自分だったらこうします、と意見を聞くこともできました。それは自社が建てる家に自信があるということの証だと思いますし、とても誠実なこと。一生の買い物だからこそ、そういう人がいる会社で建てたいと思ったんです」と奥様。

その言葉に「家は建てて終わりではなく、新たな暮らしの始まり。定期的なメンテナンスでこれからもお付き合いが続きますから、信頼関係はとても大事ですよね」と、ご主人も大きく頷きます。

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左≫玄関の奥には大容量のシューズクローク。 ホール脇には手洗いボウルも設置 右≫シックな色合いの外観。庭があることで「住空間が豊かになった」と奥様

家づくりで得た思いがけないプレゼント

Aさんご夫妻が設計士と打ち合わせを重ねてたどり着いたのは、吹き抜けのあるリビングを中心にした真壁の家。現しの梁や柱、床には、存在感たっぷりの香川県産の檜を使用。壁には珪藻土を塗り、天井には和紙を貼るなど、家全体が呼吸しているような気持ちの良い自然素材の住まいです。

「県産檜を使うのも、そのために大黒柱伐採ツアーに参加したのも、すべて菅組さんからの提案でした。身をまかせる気分で採用した県産檜の家は、想像以上に気持ちが良いですし、大黒柱伐採ツアーで我が家の柱を切り出すという経験をしたことで、家への愛着もぐんと増しました。思いがけないプレゼントをもらったような気分です」と奥様。

「プロの意見をどんどん取り入れたい」と話すご夫妻の大らかさで、設計士のアイデアは他にも採用されました。たとえば、奥様が重視した豊富な収納スペースは、設計士が動線も考えながら家の各所に機能的に配置。どこにあれば暮らしが便利になるかを考えられた設えは、実際に重宝しているのだそうです。

またリビングに設置した広いワーキングデスクも、使い勝手を考えた高さや棚の設置を提案。今では家族3人がフル活用しているというこのスペースは、「作ってよかった場所」のベスト3に入ります。

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家の中心には、伐採した檜の大黒柱が通し柱として据わっている

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左上≫階段を上がった先の小屋裏は、息子さんのお気に入りの隠れ家 左下≫2階のホールにもワークスペース。「オンライン会議のときに重宝します」 右≫玄関脇の植栽。和と洋が融合した落ち着いた雰囲気

どこにいても心地良い住まい

菅組からの提案でAさんご夫妻が採用したものが、さらにもう一つ。それがOMソーラーです。家の中心となる位置に備えたダクトは、目隠しも兼ねて収納スペースにビルトイン。部屋の間仕切りを最小限にすることで、家をまるごと1つの空間のように温めてくれます。初冬の寒い日でも、晴れてさえいれば家中がポカポカ温かいのだとか。

「リビングだけでなく、脱衣所もトイレも、2階も。温度差がないのが良いですね」とご主人。年中快適でさらに電気代も経済的。「導入して正解だった」と話します。

暮らし始めて3年。「これからも家族みんなが楽しく過ごせたら」とAさんご夫妻。思い描くのは、味わい深い色に変化する檜のように、歳月を経てさらに充実した家族の姿。そんな明るい未来を予感させる、素敵な笑顔が印象的でした。

場所:香川県坂出市林田町
竣工:2020年7月
延床面積:132.62㎡(40.19坪)
構造:木造2階建て
設計・施工:株式会社 菅組

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屋根の上にはOMソーラーのパネル

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