家族を育む木の家
木漏れ日がやさしく揺れるI邸。
街中にいながら緑のある暮らしに心を癒され、家族が笑顔で集う木の家を訪ねました。
緑がつなぐ家族と住まい
家づくりの際にまず思い描いたのは、以前住まわれていた直島で印象に残った、とあるアート作品でした。日本家屋の様式美を残しつつ、かしこまりすぎないモダンな姿に惹かれたご夫婦。その時の思いを家づくりにも活かし、焼杉の外壁や深い軒、長いアプローチなどを取り入れました。細長い敷地に中庭を設け、平屋のリビングと2階建の個室部分で挟むような間取り。正面から見ると平屋に見え、より理想に近いシンプルな形になりました。
道路側に面したリビングですが、駐車スペースや焼杉の塀、お庭の緑が目線や音を和らげ、車の行き来も気になりません。また様々な場所から緑がのぞき、自然素材の壁や床に木漏れ日を映します。通りから見える緑は、街の風景としても道行く人に安らぎを与えてくれる存在です。
室内の素材にも木を多く使いました。お客様も訪れるリビングの床板は木目の美しい赤松を、子供部屋などのプライベート空間には素足にも心地よい檜といったように、素材を使い分けています。大黒柱は、仲南(まんのう町)の山でご家族が見守る中伐採された檜です。訪れたお客様は、新鮮な木の香りに驚くそうです。
平屋部分のリビングは、壁と天井に同じ素材を使うことで境目が繋がり、部屋を広くみせています。この場所からは、中庭を挟んだ畳の間でお子さんたちがお昼寝する姿がみえたり、キッチンに立って遊ぶ様子を眺めたり、奥様が長い時間を過ごす場所であり、お気に入りの場所です。奥の畳の間には家族5人が一緒に眠ります。
「ここに居ると、縁側としても使える廊下、ウッドデッキのある中庭、シックな焼杉の外壁や家族が集うリビング、そして窓の外に続く景色と、この家の好きなところがたくさん見えるんです。家を建てて良かったと実感するひと時です。」と、ご主人様が笑顔で教えてくださいました。
柱や木製の扉など、各所にさりげなく使われた木材たち。壁や天井の白に、やわらかな木目がバランスよく馴染み、すっきりとした印象を与えてくれます。
I邸では、どこに居ても、中庭の緑や陽光に心癒され、また中庭ごしには家族の姿が見えます。この家で過ごせば過ごすほど、自然と笑顔が増える、そんな木の家でした。
つくる つづく つむぐ お庭いじり
I邸には様々な場所に緑があります。通りからの目線を和らげる緑、お客様を迎える緑、そしてお家の真ん中で家族に癒しを与えてくれる緑…。
中庭のシンボルツリーはアオダモ。ゆっくりと成長し、限られた土地でも根強く育ちます。夏は木陰をつくり、冬には葉を落として日差しをとりいれてくれます。
日当たりのよい中庭では、プランターでキュウリやトマトなどの夏野菜も育てています。お子さんたちも成長を楽しみにし、普段はあまり口にしないキュウリも、自分が育てたものはおいしく食べるそうです。
街中にいながら、自然の恵みを身近に感じられる場所です。
高松市I邸
2018年3月竣工
延床面積
120.76㎡(36.59坪)
構造:木造2階建て
設計・施工:(株)菅組