薪ストーブの前が指定席。会話が弾む安らぎの家

薪ストーブの前が指定席。会話が弾む安らぎの家

いつかは叶えたいと思っていた、薪ストーブのある暮らし。大好きなアウトドアの気分を家でも味わいたいと建てた念願の我が家は、室内にいても木の香りや火のゆらぎが楽しめる空間に仕上がりました。

今回訪れたのは、山間の自然豊かな町にあるOさんのお宅。理想の住まいを手に入れ、日々を楽しむご夫妻に話を伺いました。

薪ストーブの前が指定席。会話が弾む安らぎの家

左:開放感のあるリビングの吹き抜け 右:リビングを出てすぐの場所にある薪置き場

薪ストーブのある家に憧れて

山々や田畑、ため池など、見渡す限りのどかな風景が広がる香川県綾歌郡。豊かな自然に恵まれたこの町で、四季折々に色づく山を借景に建つ一軒のお宅があります。焼杉板を使ったすっきりとした配色の外観が印象的で、周囲に広がるのは樹齢100年という立派な梅の木が植えられた庭や、柑橘が鈴なりに実をつける果樹園。刻々と変化する風景や高低差のある地形を味方につけて周囲と調和するランドスケープは、さながら絵画のようです。また屋根からまっすぐに伸びた薪ストーブの煙突も印象的で、冬になれば白い煙が霧がかった山の端にたなびく様子も容易に想像できます。

こちらに住まうのは、Oさんご夫妻。菅組が提案する「讃岐舎(さぬきのいえ)」に暮らし始めて3年になります。結婚後しばらくはマンション暮らしでしたが、キャンプや釣りなどアウトドアが趣味のご主人が「薪ストーブのある家に住みたい」と、家づくりを開始。さまざまなハウスメーカーを検討していた頃、新聞に折り込まれていた1枚のチラシに目が留まりました。

薪ストーブの前が指定席。会話が弾む安らぎの家

木の雰囲気いっぱいのリビングが大好きと話すOさんご夫妻

家を建てることは暮らしをつくること

「チラシに載っていた家を見て、自分が思い描いていた家だと思いました。それが見学会に足を運んだきっかけです」とOさん。それが菅組との初めての出会いでした。そこからさらに数軒、菅組の家を見学に行き、建てたいという思いが募ったご夫妻。同時に他のハウスメーカーにも足を運び、理想の家を探したのだそうです。

「素敵な家を建てる会社は他にもたくさんあったんです。でも自分たちの感性に合うのは、やはり菅組の家でした」と当時を振り返るOさんですが、いろいろな会社を回って比較したことで、感じたことがあったそうです。それは、菅組が〝ただ家を建てる〟のではなく、〝暮らしを提案する〟会社だったこと。使う設備の良さをアピールするのではなく、住まい手が思い描く暮らしに寄り添った提案をする姿勢に「この会社ならまかせられると思った」と話します。

その後、予算や敷地の制約などの関係で、平屋ではなく2階建ての讃岐舎の建築を決めたOさんご夫妻。「決め手は営業の三崎さんの言葉。『衣食住のうち、衣食の産地にこだわる人はとても多いのに建材の産地はあまり注目されない。でも讃岐舎に使うのは、香川県産檜や高知県産杉など産地がわかるものばかり。壁紙に使うのも土佐和紙なので、安心して過ごせますよ』と言われ、なるほどと思いました」

薪ストーブの前が指定席。会話が弾む安らぎの家

話が弾む心地いいリビング

家の建築が始まってから、月に1度はOさんご夫妻と営業担当、設計士、現場監督で打ち合わせを重ね、徐々に思い描いていたものを形にしていきました。一日の大半を過ごすことになるリビングをできるだけ広くとり、念願だった薪ストーブはその隅に設置。薪ストーブの背面にはもともと祖父のものだったという庵治石を、贅沢に壁材として使うことで、唯一無二の重厚感が醸し出されています。また、天井は平屋を希望していたご夫妻の思いを汲んで吹き抜けにしました。開放感があることはもちろん、吹き抜けにすることで薪ストーブの熱が家全体を暖める効果もあります。

「壁紙や玄関ドアのデザインなど、讃岐舎は使う建材があらかじめ絞り込まれているため、選びやすかったですね。それにどれを選んでもバランスがいい。自然素材で産地もはっきりしていて品質も良いので、安心して進められました」とOさん。実は薪ストーブについては、それほど強い思いは持っていなかったという奥様。しかしこの家に暮らし始めて、ただ暖めてくれるだけの道具ではないということに気がついたのだそうです。

「飲み物片手に薪ストーブの前でおしゃべりをするのが、夫婦の日課になっています。火をつけるのは夫の役割だったんですが、この前初めて自分で火をつけてみて、できたことに少し感動しました。もう薪ストーブのない生活を想像できないですね」

薪ストーブの前が指定席。会話が弾む安らぎの家

左上:リビングダイニングの外は広い庭。時々友人を招いてここでバーベキューを楽しむ 左下:薪用の木はOさんが自ら伐りに行くこともあるが、近くの造園屋さんから分けてもらうことも。切ってから2年ほど乾燥して使う 右:火を起こすのはOさんの仕事。炎の大きさや色でどういう状態かがわかるようになってきたのだそう

室内でも感じる自然の息吹

建築中には、家に使う大黒柱伐採ツアーにも参加したOさんご夫妻。仲南の山に入り、林業家が切ってくれたのは堂々たる樹齢100年の檜でした。当初6寸だった予定がさらにひと回り太い7寸になったことで、その場で設計士や林業家も交えて設計プランを修正。突然始まった山の中での打ち合わせは「臨場感があって新鮮だった」と振り返ります。切り出した檜は柱や梁、ベンチやコート(帽子)掛けなど、切り株から枝先まで1本を余すところなく活用。設えの細部にもこだわり、室内にいても深呼吸したくなるような心地の良い空間に仕上がりました。

「家の中で一番好きなのは、リビングに寝転んで天井を見上げた時に視界に広がるダイナミックな木の空間」と話すご夫妻。温かみのあるこの空間を求めて、休日には多くの友人たちが集まるというのも納得です。

場所:香川県綾歌郡綾川町
竣工:2021年12月
延床面積:112.00㎡(33.94坪)
構造:木造2階建て
設計・施工:株式会社 菅組

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