海のある暮らし。

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刻一刻と変わる海の色。繰り返す潮の満ち引き。時折はねる魚や、目線の下を飛ぶトンビ。
リビングから眺める景色には自然のものだけが映り、「きっと100年前も、100年後も同じ景色なんですよね。」と奥様が何気なくつぶやきます。
その果てしなく雄大な風景とともに暮らす、一軒の平屋を訪ねました。

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この海に魅せられて

隣町にお住まいだったUさんご家族。仁尾町にはワンちゃんとお散歩をしに、よく父母ヶ浜へ訪れていました。一年を通して穏やかな海と「日本の夕陽百選」にも選ばれた遠浅の白い浜をみて、この景色を眺めながら暮らせたら素敵だろうな、と思っていたそうです。

当初は他の場所での暮らしを予定していましたが、今の土地が見つかり「ここで暮らせるなら」と、夢を実現させることになりました。ご夫婦が望んだのは、リゾートホテルのような非日常的な空間。この海に魅せられて、Uさんご家族の海のある暮らしがはじまりました。

玄関ドアを開けると、目線の先には夏の日差しを受けてキラキラと輝く海が迎えてくれます。天井や外壁材など、アプローチから玄関の中までを同じ素材で繋げ、さらに壁いっぱいのガラス窓が内と外の境界をあいまいにしています。開放的な玄関を抜けると、キッチンやダイニングが一体となった広々としたリビングがあります。食事や料理、勉強や団らんなど、家族みんなが集まり、くつろげる場所です。一歩前へ飛び出したリビングは海を望む正面の開口部と、左右の面にも窓を設けたことで、水平線がぐるりと繋がり、家にいながら海の広大さを感じられます。またソファに腰かけると、そこからみえる海の表情の豊かさに驚きます。

季節ごとに違う場所から顔をみせる月と太陽。湿気の多い夏は夕日がピンクや紫に変化し、澄んだ空気の冬は、しまなみ街道のシルエットが見えることもあるそうです。「夜ふと起きて、満月が光の道を伸ばしながら水平線に沈む姿を見た時は、こんなに美しい光景があるのかと驚きました。海のある暮らしには慣れましたが、飽きることはありません。」と奥様。

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リビングと海を繋ぐお庭では、お友だちを呼んでテントを張り、子供たちだけでお泊りをした事もあるそうです。目の前の海で自分の手で魚を釣って調理すると、丁寧に骨をよけ残さず食べるようになったり、メスには卵がある事を知ったり、直に体験できるこの上ない食育の場となりました。

夕暮れ時、砂浜をワンちゃんと散歩するのが日課の奥様と息子さん。学校で遊んだ話や、時には相談事など、面と向かって話しにくい事も大自然の前では素直になれるのだそうです。

日常の一部となった海は、素晴らしい景色とともに、それを眺める住まい手におおらかな暮らしを与えてくれます。

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その他のお宅訪問