家業を守り、住み継ぐ家
古民家改修 リノベーション- 平屋
- 30坪未満
- 日本瓦葺き
- 焼杉外壁
- 薪ストーブ
家業を守り、住み継ぐ家
物件概要
- 所在地
- 高松市
- 構造
- 木造(在来軸組工法)
- 延床面積
- 建替え部分:34.23㎡(10.37坪)
改修部分:95.92㎡(29.06坪)
林業家4代目になるお宅です。
LDKの中央にある大黒柱は、住まい手さんのお父様が戦前に購入された徳島県脇町の山の樹齢88年になる檜を新月伐採(※)したもの。
埋め木は欅、蝶チギリには黒檀を使用しました。
※新月伐採:樹木の中に栄養水の残留が少ない切り旬(冬季の新月)に伐採すること。
この住居は北側の離れと南側の母屋、その間にLDKの三棟が「H」字のように繋がっています。
築86年の離れは奥座敷のような歴史ある風情。屋根裏を見ると「和小屋」と「洋小屋」と「与次郎小屋」の三種からなるハイブリッドな小屋組み(※)が残っていました。
築45年の南側の母屋は、新建材も用いられた和モダンを感じる建物。南北二つの建屋の間には、食堂と台所の棟がありました。増築・改築されてきたこれら三棟が重なりあう屋根の部分からは雨漏りがあり、また段差の多い床でもありました。
これからもこの家で安心して暮らしていけるように、生活導線をバリアフリー化したい。そんな住まい手さんの思いが出発点となり、建替え・改修計画がスタートしました。
玄関から母屋、離れのトイレまでをバリアフリーにするには、どうしても床と天井の高さに制限があります。
圧迫感を感じさせないために、新しいLDKの天井は吹き抜けにし、中窓、間接照明を設置。東西に大きな窓をとり、芝生の庭につながる軒の深いウッドデッキの効果で、光と風が通る開放感のある空間になりました。
※ 建物の屋根を支える骨組み。「和小屋組」と「洋小屋組」があり、「与次郎組」は古来の土蔵や酒蔵に見られる和小屋組のひとつ。
林業家でもある住まい手さんの自ら伐採した木を建替え改修に使用することにしました。構造材、板材は全部でおよそ4トンにもなりました。その後、構造材は材木屋さんで約1年間、バイオマス併用の自然乾燥に近い山一式低温乾燥装置で乾燥させ、板材は自宅の倉庫で桟積乾燥しました。
木のことを知り尽くしている林業家の家ならでは視点で、ともにつくりあげた改修工事となりました。