心も体も健やかな暮らし OMソーラーの家

あののぉ vol.63 2023 冬号01

季節が突然、冬の厳しさを連れてきた師走の初日。市街地を一望する見晴らしの良い高台に建つ、築24年のT邸にお邪魔しました。

夏に行われた改修工事で外壁と屋根のお色直しをしたこともあり、真っ白な漆喰壁に焼杉の黒と塗装しなおした黒屋根が映え、コントラストの美しい若々しい家に蘇りました。ご主人が丁寧に手入れされているという庭の芝生は、冬とは思えないほど青く艶やかで、まるでふわふわの絨毯のようでした。

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photo :高松市のシンボルのひとつ、屋島を背にした高台にあるT邸

人間らしく住まう

T邸は、OMソーラー(※1)を採用した、在来木造2階建て。木のぬくもりを一番に実感でき、木の調湿作用の効果も期待できる真壁づくり(※2)のお住まいです。

25年ほど前、子育てしながらのマンション生活に終止符を打ち一戸建ての家を建てようと決め、いくつかの住宅展示場に足を運んだTさんご夫妻。イメージしていた木の家はなかなか見つからなかった中で思い出したのが、ご主人と同級生でもある当社の菅社長(当時住宅事業部長)でした。連絡を取り相談すると、早速OMソーラーのパンフレットを携えてやってきてくれたそう。そこに掲載されたOMソーラーの家が木をふんだんに使ったオープンな造りで、それはまさにTさんご夫妻のイメージにピッタリでした。

「日本人ですから、土の上に木の家を建てて暮らしたい」というご主人の思い。無垢の木や漆喰、和紙などの自然素材を使った家で子育てをしたいという奥さまの思い。四季を感じながら、人間らしく健やかに住まう事を理想とするお二人の家づくりとなりました。

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photo(左上):リビングからダイニングを見る  (左下):Tさんご夫妻。ご主人は数日前にフルマラソンで4時間をきる記録をだしたそう。疲れは全く見えない (右):大きな吹き抜けのあるリビングから玄関を見る

外とのつながりを感じながら

玄関を入ると迎えてくれるのは、木目の美しい太く立派な梁と、ダイナミックな吹き抜け空間。正面の大きなガラス戸の向こうには、サンデッキと飫肥杉(おびすぎ)の板塀、芝生の庭と、高松の市街地につながる空が広がっています。

一階は台所と食卓、リビングが一体となった生活空間となっており、リビングの奥にはご夫妻のベッドルームがあります。これから先のことも考え、夏の改修で2階から1階に下ろしたそう。庭側に移設したお風呂は、明るく開放的に。2階にはご主人のトレーニングルームを兼ねた書斎と子ども部屋があります。今はもう巣立っていった子どもたち3人が帰ってきたら、いつでも泊まれるようにとベッドが整えられていました。

どの部屋にも太陽の光が降り注ぎ、外とのつながりを感じる間取りになっています。

団らんの家 りんご型の家

この家づくりで設計士がポイントにしたのは「りんご型の家」(※3)。家全体を一つのりんごに見たて、部屋を廊下で仕切らず、間仕切壁を最小限にしたオープンな家です。「子どもが小さかった頃、2階で遊んでいても声が聞こえ、何をしているのかわかりました。出かける時も帰ってきた時もリビングを通るので、常に子どもに目が行き届く。それもあってか、親子の距離は今でも近いです」。

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photo(左):立派な梁や柱の木目が美しい吹き抜け。手すりの親柱の彫刻は、大工さんの手刻み (右):新しい薪ストーブに初めて薪をくべるご主人。炎の揺らめきを楽しみます

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photo(左上):建物を真上から見る (左下):テレビの奥の壁紙は、とても貴重な漆の和紙 (右):玄関土間と和室をつなげて、ゆったりとした玄関土間に改修

「エコロジー&エコノミー」な家

「太陽エネルギーは(O)おもしろい、(M)もったいない」。これは、OMソーラーのキャッチコピーです。「太陽の熱を活かせるなんて、得した気分ですよね」と奥さま。ご主人は「夏、車を降りて駐車場は暑いのに、家の中は木陰のように涼しいです。エアコンはあったけど、使わなかったので処分しました。冬でも足元の電気ストーブや、バイオエタノールのストーブを数年前に設置するまで、特に何も使いませんでした。この家は地球にも人にも優しい、エコロジー&エコノミーな家なんです」。

体は正直

医師という仕事柄、日ごろから健康には特に気を遣われているご主人。ゴルフとマラソンが趣味で、ときどき職場である市内のクリニックから8キロの道のりをランニングして帰ることもあるそう。「怠けていたらいけないという気持ちになるんです」。そんな前向きな気持ちで日々過ごせるのは、自然体でいられるこの家だからだと言います。

OMソーラーの家は、快適な温度・湿度で空気が循環していて、どの部屋にいても一定の環境が保てます。「過度な空調に頼りすぎず、人間本来の生き方で体も心も健やかに過ごせること。そもそも人間がもっている体の調整機能が発揮できる生活環境でいられることが大切です。この家は窓が大きいのに結露も出ないしカビもでたことがない。体は正直。素直な体になっている。これは暮らしみて初めてわかる、この家の見えない品質だね」。そう話すご主人に、「家に帰ると空気がおいしいんです。それは本当にわかります」と奥さまも実体験をお話してくださいました。Tさんご家族に、OMソーラーの木の家はなくてはならないものとなっているようです。

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火を囲む 人が集う 生活を愉しむ

年を重ね、子ども達も巣立ち、冬の寒さが厳しく感じてきた今年、リビングの真ん中に薪ストーブを設置しました。この日は、ご主人も待ちに待った、火入れ式の日。当社の社長、担当スタッフがそろい、Tさんと社長二人で着火。揺らめく炎をみんなで囲みながら、思い出話にも花が咲きます。

「信頼していたので基本お任せしていたましたが、設計面、機能性でも様々に提案して納得させてくれました。気付かないところも手直ししてくれたり、ずっと見ていてくれていたというのもありがたかったな」とご主人。実は本誌「あののぉ」という冊子名も、Tさんにご意見をいただいて決めたという裏エピソードを社長から聞き、取材班は驚きました。

次のステージへ向けて

「これからも、みんなが集える家というのがいいな」とご主人。
ご長男が小学生の頃は、この庭で仲良しの友だちと3人で夜テントを張って遊んでいたそう。ご夫婦も、友だちと釣ってきた魚をご主人がさばいて料理をふるまったことがあったと言います。「この家は居心地がいいからと、友だちが長居していたことも嬉しかったです」「雪が降った時に、歩いて坂道を上がってくる途中に見た我が家がとてもキレイでした。好きな家に帰る幸せを感じた思い出です」。たくさんの記憶が蘇ります。

Tさんご夫妻はこれまで、暮らし方の変化や子ども達の成長に合わせて家づくりをされてきました。そしてこの夏の改修では、よりお二人が過ごしやすく、帰ってきた子ども達が快適に過ごせるようにとの思いを大事にしたそう。「子育てが終わって次のステージへの準備ですね」と奥さま。「近い将来孫ができると思うので、この芝生の上でバーベキューをしたいですね。私たちも元気でいるために、日々努力です」。

家族を育み、家を育む。Tさんご夫妻の未来の暮らしのイメージは、この街の空の下、まだまだ広がっていくようです。

※1【OMソーラー】
自然の力を利用して1年中温度のストレスを感じにくい住環境を作るパッシブデザインの考え方から生まれました。冬には屋根で集熱して空気を暖め、ファンとダクトを介して、床下に運び家全体を暖めます。夏の昼間には屋根の熱を排出して換気し、夜には放射冷却で冷えた屋根の空気を室内に取り込みます。

※2【真壁づくり】
木造住宅の壁には、大別すると柱が室内に露出している真壁(しんかべ)づくりと、壁が柱をおおい隠す大壁(おおかべ)づくりがあります。真壁づくりは木材が露出しているので、木目の美しさ、色の経年変化を楽しめ、木の持つ調湿機能で快適な室内環境になります。

※3【りんご型の家】
「りんご型の家」に対するのは「ぶどう型の家」です。個室をたくさん作り、各部屋を廊下でつなげた間取りで、部屋を「実」とし廊下を「枝」、家全体を「房」と見立てた、まさに「ぶどう型」です。核家族化の進む日本では「ぶどう型の家」が一般的に広がりました。

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T邸のあゆみ

【新築】竣工:1999年1月
延床面積:155.37㎡(47.08坪)

【増築】竣工:2011年10月
延床面積:90.96㎡(27.56坪)

【板塀】竣工:2020年6月

【改修】竣工:2022年9月
工事床面積:66.24㎡(20.07坪)

場所:香川県高松市
構造:木造2階建て
設計・施工:株式会社 菅組

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