商店の面影を残した民家の再生
古民家改修 リノベーション- 2階建て
- 30坪未満
- ガルバリウム鋼板
- 吹き抜け
- 土間収納
- 日本瓦葺き
- 焼杉外壁
- 香川県産ひのきフローリング
商店の面影を残した民家の再生
物件概要
- 所在地
- 高松市
- 構造
- 木造(在来軸組工法)
- 延床面積
- 1F 80.72㎡(24.46坪)
2F 11.16㎡(3.38坪)
計 91.88㎡ - 備考
- 壁:漆喰珪藻土塗り
天井:ヒノキ羽目板張り
住まい手さんのご実家が営んでいた商店の面影を残したいとの思いから、改修の計画がスタートしました。
かつて街のよろずや的なお店であった記憶を継承し、地域に向かって開くこともできる場所をつくりたい。一方、家族が集う場所としては手狭だった茶の間を、庭を眺めながらくつろげる場所にしたいとの思いをカタチにしました。
不要な要素を取り払い、残した場所を生かすための新たな空間を加える事にしました。
新しい場所は一種の緩衝地帯として、外に開く事と閉じる事の相反する思いを状況に応じた空間の使い分けができるよう機能します。さらに道路と建物の間を内庭として囲う事で、暮らし方のバリエーションを増やす事になります。
くつろぎの空間としての居間スペースは、ピットリビングとして、低い視点からこの家と共に歩んできた庭を眺められます。静かに落ち着いた雰囲気の中で、くつろぎの時間を過ごす事を意図しました。元々物置だった2階は床の一部を取り払い、吹き抜けとして解放感を演出すると共に、残ったスペースにはお店で使われていた棚板を再利用した本棚を設け、読書もできるロフト空間としています。それによって、家族が程よい距離を保ちつつ、思い思いに過ごすことができる場所になりました。
一方で、ホールに面した建具を開け放つ事で、多人数と過ごす時にも対応できるようにしています。
内庭に面する開口もプライベートなエリアを拡張します。土間にしたホールは人を招きやすく、多趣味なお施主様の活動の場としても気兼ねなく使っていただく事が出来るように計画しました。
外観は道路からの距離が近いので、木の塀と一体に見えるように素材を合わせ、経年変化により、建物の他の部分と馴染んでいくようにしました。
たばこ売り場のこの意匠は既製品であり、各地で見かけられたタバコ屋のアイコンとして広く人々の記憶に刷り込まれているがゆえに、初めてこの場所を訪れた人でさえも、かつてこの場所で交わされた会話や光景を容易に想像できうるオブジェクトだと確信したからです。
既存の景観を踏襲する事も時には必要ですが、住まう人の思いを実現するための素材として、取捨選択することで既存の建物を活用できるなら結果的に民家再生になるのではないかと思います。